構想・設計編

10ウン年(ウン=2or3だと思う)ぶりにスピーカを作りました。

用途

今回は自分の部屋用に作りました。諸条件(というほど大げさなものではありませんが)により、設置位置はPCのディスプレイをはさんだ両脇ということにしました。 問題なのは、このディスプレイが液晶ではなくCRTだということです。この問題を解決するには

の2つの方法がありますが、もったいないオバケの出現は回避しなければなりませんし、余計な出費をしている場合ではありませんので、当然、後者の策をとることにします。

構想

防磁型のスピーカシステムを作るには

の3つの方法がありますが、今回は、見栄えや音質はともかく、防磁型という点は失敗が許されないわけで、防磁型のユニットは買ってしまえばおしまいなのに対し、残り2つの方法は技術力が要求され、しかもどちらについてもノウハウがないので、無難に防磁型ユニットを使うことにします。

問題の部屋では、とりあえずの間に合わせとして、その昔、キムラ無線で買った、今となってはメーカーも型番も不明のバスレフにFE103をマウントしたシステムで聴いていましたが、低音がどうにも物足りないので、もうちょっと低音が出そうなユニットを選ぶことにします。

部屋の端まで椅子をひいてもスピーカから耳までの距離が1.4m、デスクワーク(とかカタカナで書くと、妙にかっこいいですが…)のときは、ほとんどヘッドフォン状態なので、フルレンジ1発でまとめるのが無難そうです。

最近はTANG BANDなんていう選択肢も登場していますが、手堅く(?)FOSTEXで、まずはFE127Eで検討を始めました。素直に教科書的なバスレフか、とも思ったんですが、ユニットの高さを1mぐらいにしようとすると、バスレフをスタンドで持ち上げるのももったいない気がして、トールボーイにするとどんな感じか考えてみました。しかし、高さ1mのバスレフでは細長くなってしまい、管っぽい音になるのでは、という点が心配になり、それならダブルバスレフか、管と開き直って共鳴管か? などとも考えながら、FE127Eの作例などをさがしてみたところ、どうもかんばしい話が見当たりません。

口径が大きければ、口径にモノを言わせて、箱でがんばらなくてもある程度の低音は出るだろうから、と、FE167Eも検討対象に加え、どんな感じか物差しを持って来てイメージしてみました。すると、寸法的にはいけそうな感じです。となると、気持ちは俄然、FE127EよりFE167Eへ向いてしまいます。FE103+バスレフは、フルレンジ+バスレフの音を聴いてみるための教材として割り切って買ったものの、ぼくの需要に対しては、実用性とは両立しなかったんですが、FE167Eなら、「口径にモノを言わせて」理論で期待できそうなので、教科書的バスレフにリベンジしてみることにします。

設計

FOSTEXのクラフトハンドブック Vol.1に掲載されている数式と数表で計算してみると、内容量は13.12lとなりました。当り前と言えば当り前ですが、ユニットの出っぱりやダクト、補強材による目減りを考えると、FOSTEXが発表している標準箱の15lと、ほぼぴったりです。標準箱のダクトは内径50φの円筒で、調べてみると、水道管用の塩ビパイプの、呼び径50という規格が、内径50φであることがわかりました。根拠のない単なる推測ですが、標準箱の50φというのは、これを利用することを想定して決められたのではないでしょうか? また、水道用の塩ビパイプには、肉薄のVUという品種と肉厚のVPという品種があることもわかり、URLを控えるのをわすれましたが、WWW上でダクトをVU管からVP管に変えたら音が良くなった、という趣旨のレポートもあったので、呼び径50のVP管、というやつに決定です。角ダクトだと寸法を変えるのは大変そうですが、塩ビパイプなら、切り刻んで、いろんな寸法を試すことができます。ダクト長は、内径を50φとしてクラフトハンドブックにしたがって計算してみると88mmとなり、標準箱の50mmより長く出ました。

ユニットを買ってきてみると、取説に、おあつらえ向きに、FE167Eを15リッターのバスレフ型で使用した際、直径50mmの丸型ダクトのfbと長さの関係、という表が載っていました。これによると長さ33mmでfbが75Hz、43mmで70Hz、72mmで60Hzだそうです。fbを60Hzより低く設定すると、量感が小さくなる傾向があるという説明がついています。なのでてっきり実測値なのかと思ったら、どうもクラフトハンドブックの式で算出した値を表にしただけのようですね。おまけにfb=50Hzに対してダクト長12mmと、明らかにおかしな数が書いてありますが、クラフトハンドブックの式で計算してみると121mmとなり、ここだけmmじゃなくってcmで書いちゃったのね、ということのようです。

標準箱のデッドコピーでは、さすがに面白くないので、内容量は15lにするものの、寸法は別の値にしてみました。実はハンズへ持って行く加工指示図で初めて真面目に図を書いてみたんですが、バッフルの割にユニットが大きな印象になりました。