11月2日(火)

朝ごはんを食べに行った。一流田舎料理レストランChez Pokで食べる最後の食事だ。 行くと、寒空の下オープンエアの席も用意されていて、ウェートレスさんが、席は外と内と どっちがいいか聞いてきた。 こんなに涼しい(寒い!)のに外を選ぶ客なんているんだろうか。本当に外は寒々としている。 枯れ木に枯れ芝・・・たしかに自然を満喫出来なくもないが。 今回の旅行や前回のアメリカ旅行で思ったことは、白人の体感温度は黄色人種とはかなり 違うということだ。それとも、薄着でやせ我慢していることが美徳なのだろうか? それはさておき、昨日温かいメイン料理の量が多いことを学習したので、 ビュッフェはあまり取らないようにした。 メインは、夫は昨日と同じヴルストと卵料理とハッシュドポテトの組み合わせだったが、 卵料理を前日のスクランブルから目玉焼きに変えていた。 ハッシュドポテトの部分は前日はたまたま切れていた為か巨大マッシュルームだった。 妻は、前日となりのテーブルの人が食べていて、巨大だけど美味しそうだった エッグマフィンにした。美味だった。 エッグマフィンというとマクドナルドを思い出すが、マクドナルドは イギリスの伝統料理からヒントを得ていたのか。 フィレオフィッシュもフィッシュアンドチップスにそっくりだ。
朝食を終え、荷物をまとめ、チェックアウトした時、妻は夕食代について抗議した。 今から思うとホントに恥かしい。英語が出来ないくせについ主張してしまった・・・。 愛想のよかった、オーストラリアの若者に対して、食事代が高すぎると言ってしまったのだ。 2日目の食事はパックに入っていると思っていたのだが、実は入っていなかった。 実費で払わなければいけないものだったのだ。 若者と話しているうちに、私が間違えていたということがわかった。 宿を予約する時に、インターネットに記載されている条件をちゃんと見るべきだった。 そうすれば、昨日の夕食をあんなに一生懸命食べる必要もなかったのに・・・。
宿をあとにして土産物屋へ行った。そこには、今回の旅で初めてワイングッズらしきものがあった。 オーストラリアのワイナリーはカリフォルニアのナパと違って、ワイングッズはあまり置いていない。 置いてあるとしても、せいぜいポロシャツくらいだ。 ナパで見たワイングッズは素敵なものばかりだったので、今回は物足りなさを感じていた。 試飲にしても、ナパは有料だが、それなりに高価なワインが飲め、 オーストラリアは基本的にタダだけど、高価なワインは試飲できない。 ワイナリーの面白さでいうと、カリフォルニアの方が上だと思う。 ナパは、よく言えばサービス精神旺盛、オーストラリアは純朴だ。 確かにナパの方が観光客が多いし、世界的な高級有名ワインも多いが。 土産物屋ではTシャツを買った。夫が知り合いのワイン好き夫婦に選んだものは、 Life is too short to drink bad wine.と書いてあるものだった。 一目見て気に入ったらしい。たしかに、この言葉通りに飲んでいられたらいいなぁ。 私もダチョウの足跡が描かれているTシャツが気に入って、とりあえず1枚買った。 (後に友人のハナ子へあげた。) 夫はTシャツ以外にオーストラリアのワイン雑誌を購入し、Guest Houseにあったのと同じ 雑誌をお土産用に2冊もらった。

ハンターバレーで最後にもう一度行っておきたい所はAllanmereだ。 勝手知ったる道なので、地元の人のようにスムーズに到着。昨日のおじさんがいた。 すっかり英語をしゃべることに慣れてしまった夫は、 おじさんに「スーツケースに1本分だけ隙間が出来たから買いに来たよ」なんて調子のいいことを喋って、 妻は「もう一回テイティングしたい」と言って、試飲をさせてもらって一本買って出た・・・ はずなんだが、車に戻って、「試飲したらやっぱり美味しかったね」という話になって 欲が出てしまった。 どうしてもあと数本買いたくなってしまい、どっちも恥ずかしくて買いに行きたくないところ、 妻が行くことになった。 顔から火が出る思いで店に戻り、奥に入っていたおじさんを呼び、 言い訳を言える英語力がない為、実に事務的にChardonnay 2本とSauvignon blanc 1本を購入。 これでハンターバレーで思い残すところはなくなった。 一路シドニーへ向かう。途中のCaltexまでは夫が運転。 その後は妻がHarbor Bridgeの少し先まで運転した。 ニューキャッスルフリーウェイの間は、車線は多いし(5車線位?)車間も十分とれて楽だったが、 途中でパシフィックハイウェイに入ると急に世知辛くなった。車線は3車線位になり、 みんなスピードを出しながら車間を詰めながら車線変更しながら走る。 首都高環状線を走っている時と同じような緊張感を持って慣れない道を運転した。 妻にとっては手に汗握るものだった。 そうこうしているうちにシドニー湾だ。 行きはハーバートンネルを利用したので、帰りはぜひハーバーブリッジにしたかったのだが、 思っていたよりもすんなりのることが出来た。巨大な橋だった。サンフランシスコにもあった 頑丈な要塞を思わせるような橋。 日本の景色にはきっとそぐわないだろう。

ブリッジを越えて街に入ってから運転を代わってもらった。 橋の近くで見たいものは、とりあえずワインセンターとケンドーン美術館だ。 まず、ケンドーン美術館へ。ハーツで借りた車の中の地図がとても役立ち、 そんなに迷うことなく着いた。車は美術館の近くに止めた。 パーキングメーターもあったけど、殆ど埋まっている状態だったので、 ちょっと高かった(25ドル)けど、無難な普通の駐車場に止めた。さあ美術館だ。 夫によると、妻は美術館に入るなり、展示の絵を見るよりも先に土産物を見始めたらしい。 そして、レジにいた女性におもむろにトイレの場所を聞き、 「向いのホテルにあるわよ」と言われ、飛んでいった。 向いのホテル・・・わりと敷居の高そうな・・・たしかパークロイヤルホテル? だったか。 トイレだけ借りて出て行くのも恥ずかしくて嫌だったが、他にすることもなく、結局そうなってしまった。 美術館に戻り、ざっと絵を見て、お土産を物色したのだが、どうも決められない。 とりあえず出る事にする。 ケンドーンが買いたいっと妻が言っていたら、 夫は、既に車の中からケンドーンの売店を見つけていたらしい。場所を教えてくれた。 美術館からそう遠くない所にあった。入ると、もう女性にはこたえられないすばらしい店。 ケンドーンの明るくカラフルでおしゃれなグッズに埋め尽くされていた。妻の胸はときめいた。 その横で夫は大変つまらなそう。少ししか見ていないっていうのに、もうふてくされている。 「これお土産にどうかなぁ」と聞く妻に対して、「さあ」といかにも関心なさそうに応える夫。 このままどんどん機嫌が悪くなったらいやだなぁと思って妻は憂うつになる。 しかし、明日には立たなければならないので、お土産を早急に決めなくちゃならない。 とてもプレッシャーを感じた。 妻は旅行前から、お土産はケンドーンと決めていたので、 ここでのお土産選びは旅のメイン(?)だったのだ。 愛想のよい日本人の店員さんが声をかけてくれて、ますます買う気になった。 いろいろ物色していたら、夫は本当につまらなくなったらしく、その辺を見てくるよと言って 出てってしまった。正直言って少しホッとした。 鬼のような顔をして隣に立ってられても集中できないからだ。 妻がだいたい見尽くした頃、夫が戻ってきた。

結局その時は買わずに店を出てワインセンターへ向かった。 ワインセンターは思っていたよりこじんまりしていた。 しかし、確かにそろえてあるワインはその辺の酒屋とは違っていた。 奥のレジの隣の棚にはグランジが並んでいた。 グランジは棒で押え込まれていて勝手にとることはできない仕掛けになっていた。 妻はCroserをチェック。帰国する前に飲むか買うかしたいスパークリングワインだ。 結局、明日もう一回来ようということになり、第1回訪店では何も買わなかった。 ワインセンターを出ると、ガード下にお土産物やが沢山見えた。そのうちの「秋葉原」という店に入った。 店員は日本人だらけ。新婚さんはさらに値引きするよなどとセールストークに余念がない。 新婚旅行というわけではないけど、そう見えたのなら否定する必要もないので、合わせていた。 1件目の秋葉原で、「また来てくださいカード」をもらい、2件目でそれを使い、 合計15%引きで細かいお土産を購入。
妻はお腹がすいてきたので、イタリアンの軽食屋でビールを飲ませてもらう。 その間夫はジンジャーエール。その後、オペラハウスを写真に納める。 親切な人(現地の人?)がいて「撮ってあげるよ」と言ってくれた。 外人はフレンドリーだなぁと思いつつ撮ってもらったのだが、うまく撮れてなく、 その人の親切につけこんで、ずうずうしくも「もう一回撮ってください」と言って撮ってもらった。 注:デジカメだったので、その場で見れたのだった。 2回目を撮りおわるとその人はそそくさとその場を立ち去った。 適当にオペラハウスを撮った後、港の建物の2階に登って橋の写真も撮った。

次に、ケンドーンに戻ってお土産を再度物色。 妻は1回目のケンドーンからその時に至るまで何を買うか熟考していたはずだったのだが。 店に入りウキウキしている妻を尻目に夫は「あと何分?!」と脅すので、 妻は弱々しく15分と応えた。「じゃ」っという具合に夫が店を出ていった。 ホッとしつつも、もし15分で決まらなかったら怒るかな?という不安も頭をよぎった。 店内はそう広くはないが、1階は2ゾーン、2階は3ゾーンに分かれていて、 ゾーンそれぞれにテーマがあり、居るだけで幸せな気分になれる。 結局その時は、自分たち用のベットカバーとピローケース、Tシャツ、 妻のショーツとポーチと布巾、妻親へのペアのポロシャツ・Tシャツ。
買い物を終えて車に戻りホテルへ向かう。・・・が、一方通行と立体交差で なかなか思う通りの道にでられなかった。時には入りたい道を何故か逆走していたりして。それでも 何とか日航ダーリングハーバーにたどり着いた。さすが一流のシティホテルだ。 車で到着すると、荷物はポーターさんがレセプションまでちゃんと運んでくれる。 車は別棟の駐車場に運んでいってくれた。 ここまではよかったのだが、チェックインに手間取った。ユナイテッドツアーズで予約を入れ クーポンにしてもらったにも関わらず、とてもてこずっている様子だった。 ヒサノさん(ユナイテッドツアーズの担当の人)が何かやらかしたのだろうか? フロントの日本人アキコさんはきっと正直な人なのだろう、眉間に皺をよせて困った顔をしている。 しまいには「少々お待ち下さい」と言ったまま奥に引っ込んでしばらく出てこなかった。 なんとかチェックインを済ませて部屋にいく。最上階でハーバービューというだけあって 港がよく見えた。妻は「ここにしてやっぱりよかったー」と満足。

落ち着くまもなく、夕食をどこで食べようかという話になる。 妻はカメラマンの本を信用していたので、そこに載っている少し高級な店がよかった。 ホテルのコンセルジュに何件か問い合わせしてもらったのだが、 情報が古かったり、いっぱいで予約が取れなかったりして難航した。 結局、夫のすばらしい英語力を駆使してもらい、 ROCK POOLという昼間さんざん行ったケンドーン辺りの店に決まった。予約は20:00。 オーストラリア最後の夜にふさわしいように、シャワーを浴びて、おかしくない格好に着替えて出発。 ROCK POOLには、時間が十分あるというのと、お腹が空くことをねらって徒歩にした。 外国といえども、シドニーの夜はあまり危険な感じがしなかった。
ロックプールに着くと、すでに待っている人がいたので、すぐに入れるのかな? と思ったが、 夫が名前を言うと、すぐ席に案内してくれた。 たしかにお洒落な感じのする店だったが別段豪華というわけではない。 私たちにサービスをしてくれたのは、夫曰く「Sさん(妻の友達)によく似た人」だった。 年の頃は50才くらい、肩につかない程度のソバージュヘア、顔だちもちょっと似てる? ちょうど旅行の2週間位前Sに会ったが、同じような髪型をしていた。 この顔立ちによく似合う髪型なのだろうか。 さて、1杯目の飲み物は、期待のCroserはないとのことなので (あったとしても、ボトルで飲むのは辛かったと思うが)、名も無い(?)スパークリングをグラスで 頼んだ。パンにオリーブオイル、お通しがでた。今までの田舎料理と違った洗練された味だった。 ここにこなければ、オーストラリアの料理は田舎料理と思ったに違いない。 オリーブオイルが美味しかった。 次に前菜。妻はラビオリのスープ。夫はシュリンプ。 メインは夫はポーク。妻は白身魚のグリル。 ワインは夫好みのフレッシュ&オーキーなScarborough Chardonnayを Sに似たソムリエールが選んでくれた。 この人の身のこなしはオーバーアクションで、とても面白いものがあった。 本人はスマートと思っている(?)のか、自然にそうなってしまうのか、 ミスタービーンに通ずるものがある。古式ゆかしきイギリス人の身のこなしなのだろうか。 (そういえば、ケンドーンに居た年の頃45才くらいの女性の店員さんも 手つきが気取っていて面白かった。) 夫も、このソムリエールに面白ものを感じた+Sに似ていたので、 ふだん店の人と一緒に写真をとるなどと考える人ではないくせに、この時ばかりは、 「ここへ来た記念に、あなたと彼女の写真をとらせてください」などと言い、 気のいいオーストラリアのSは、喜んで写真に入ってくれた。 このオーストラリアのSには、夫の本当に楽しそうな笑顔の意味はわかっていない。

ワインを飲み終え、Sにラベルを剥がしてもらい、精算して (今回の旅行で一番高くついたディナーだった)店の外に出る。 その時、上着のフリースを忘れたことに気づいて戻り、 Sにその旨つげると「おおっ、すみませんでした」と言って返してくれた。 そして歩いてホテルに戻った。 ホテルに着き、満腹と疲れで、わりとすぐに寝た。 妻は夜中の3時頃ふと目が覚めてしまったので、しばらく一人で外の景色をみていた。 夜の静寂の中、カジノだろうか、ネオンだけが変化していた。夫は隣でグースカ寝ている。 ハーバーヴューにした甲斐があったなぁとあらためて感じたひとときだった。

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